(1)友人・知人を介しての工事受注はしっかりと書面で契約を
過去をさかのぼれば、バブル経済の崩壊、消費税増税、建築基準法の「改正」による新築住宅の落ち込み、リーマンショックなど、景気悪化時には、仲間の仕事不足を逆手にとって「甘い言葉」や「着手金」などをちらつかせて、仕事を発注・施工させ、そのあとに工事代金の不払いが発生する事案が必ずありました。
この間の事例では、「友人・知人の紹介で仕事を請けたが、1回だけ支払いがあったもののその後の入金がない」といった、これまで取引のなかったリフォーム業者の足場の組立・解体や知人の紹介で人工(手間のみ)の現場に入ったが、支払いがない(解体工)など、いずれも書面による契約がない工事において工事代金の不払いが発生しています。
今現在、コロナ、原油・原材料高騰、円安、ウクライナ情勢などから、景気が大きく後退しています。そうした時こそ以下の「不払い防止10か条」も頭に入れて組合員各自が予防に努める必要があります。
また、書面がない反面、ラインなどのSNSで工期や工事現場の確認などをおこなっている仲間が増えています。そうした履歴は万が一のためにもしっかりと保存しておくことが大切です。携帯電話の機種変更などの際に消える場合がありますので、ご注意ください。
また、現場の住所、現場名を覚えていないと争うこともできません。グーグルマップのタイムラインの位置情報をオンにしておくと、いつ、どこの現場に何時から何時までいたのかが記録として残りますので働いた情報は、しっかりと記録する習慣をつけましょう。
(2)不払い10か条をあらためて確認しましょう!
転ばぬ先の杖 不払い防止10か条
1.信用情報 仕事ほしさに悪質業者に引っかからないよう、はじめての取引先は「契約」の前に仲間や同業者から信用情報を集める。うますぎる話には要注意。 2.適正価格 指値発注、値引きの強要は見積もりをしっかりおこない、原価を割り込む低単価・赤字工事は断る。「次になんとかするから」が命とり 3.書面契約 口約束は後でトラブルのもと、契約なしに工事に入らない。必ず工事着工前に契約書・発注書・請書を取り交わし、契約条件を確認しておく。 4.手形払い 長期の手形・労務費にくいこむ手形は建設業法違反。割れない手形はもらわない。 5.月別収支 長期工事では、月々の出来高請求と月別の精算を確実に。労働者の手配や資材調達に必要な「前払金」も要求しよう。 6.追加・変更工事 追加・変更工事をめぐる不払いが多発、追加・変更箇所について工事責任者から「工事(施工)指示書」をもらい、必ず本体契約と別途の書面契約をしよう。 7.倒産の危険信号 月々の支払いの遅れ、オール手形、手形ジャンプの要求は倒産直前の危険信号。支払いが改善されないなら傷を深くしないよう早めに工事から手を引く決断も必要。 8.労働記録の保存 現場の出面(でづら)、作業証明、作業指示書など現場での労働記録は大切に保存を。 9.雇入れ通知書 倒産で賃金が不払いにあったとき、労働者として国から立替払いによる救済がうけられるよう、「手間請」で働く場合は、仕事先から「雇入れ証明」を受けておく。「雇入れ通知書」 10.倒産防止共済 取引先の倒産に事前の備え。「中小企業倒産防止共済制度」に加入を。 |